「カムアクロス傘デザインコンペ」、受賞作品決定　サンプル品を店舗で展示

　傘メーカー「カムアクロス」（東大阪市吉田本町1）が主催する「カムアクロス 傘デザイン・コンペティション’24」の受賞作品が決定し、6月1日、作品を基に製作したサンプル品をファクトリーストアに展示する。（東大阪経済新聞）

　ライセンス商品やオリジナルブランドの傘・レイングッズを製造する同社。広報担当者の藤原武志さんは「OEM・ODMを中心としているため、周辺の人にも傘メーカーだと認知されていない。デザインコンペをすることで傘メーカーと知ってもらえるのではと企画した」と話す。同社には本社工房と中国・アモイの自社工場の2拠点があり、「デザインを募集するだけでなく、受賞作品のデザインコンセプトを基にした傘を実際に製作して進呈することを売りにした」という。

　4回目の今回は「毎日持ちたい傘！」をテーマにデザインを募集。服飾関係の専門学校や大学に通う学生、デザイナー、一般から297作品が集まった。同社の全社員で3次審査まで行い、グランプリ1点、優秀賞2点、アイデア賞1点が決まった。

　グランプリは、島田有里紗さんがデザインした「コサージュアンブレラ」。コサージュのようにバッグに付けてアクセサリーとしても日傘としても使える傘で、傘をコサージュとして使うというアイデアと美しいデザインが評価された。同社企画・デザイン担当者の図師遥香さんは「ブーケのようでかわいい。クリップを付けてカバンにつけるアイデアが良かった。内側の生地などは受賞者にイメージを聞いてすり合わせて作った」と話す。傘職人の西川奈央子さんは「中国の工場で作ったプリント生地にレースや花を付けて仕上げた。巻いた状態の花のバランスを考えるのが難しかった」と振り返る。

　優秀賞には、北村友莉さんの作品「Candy Pot」と藤本千鶴さんの作品「ティーカップアンブレラ」が選ばれた。「Candy Pot」はカラフルなあめ玉が重なり合っているデザインで、応募作品では「透明セロハンを重ねていくようなイメージ」と書かれていたが、「オーガンジー素材を提案した」と図師さん。傘の先のロリポップをイメージした部分は、西川さんがレジンで作った。「ティーカップアンブレラ」はティーカップのような丸いシルエットで、西川さんによると、商品化の可能性もあるという。

　アイデア賞に選ばれた高村郁恵さんの作品「私が完成させる傘fav（ファボ）」は、傘の内側と傘ケースに透明のビニールポケットを付け、お気に入りのステッカーや推しのカードを入れられるようにした物。図師さんは「カスタマイズや推し活テーマの作品はたくさんあったが、一番シンプルで毎日持ちたくなる物を選んだ」と話す。

　受賞作品は、受賞者と何度もやり取りをしながら、それぞれ2点ずつサンプル品を製作。1点は4月下旬に受賞者へ賞金と共に発送した。受け取った受賞者からは、「開いて使う際にも内側の模様がかわいらしく、私が想像していた花束の中にいるような気分になれた」（島田さん）、「見た瞬間、オーガンジー生地の風合いがとても好きになった」（北村さん）とのメッセージが寄せられたという。

　今回製作した傘は、同社1階にある「カムアクロス ファクトリーストア」でセールを開催する6月1日、工房内に展示するという。