「撫育方」「越荷方」にスポット 経済切り口に長州藩の歴史紹介 十朋亭維新館で企画展【山口】

AI要約

山口市下竪小路の十朋亭維新館で、長州藩の財政を支えた基金「撫育方(ぶいくかた)」と、それを基に運用された商社「越荷方(こしにがた)」にスポットを当てた企画展が開かれている。

撫育方は7代目藩主の毛利重就による藩政改革に伴い創設され、柔軟な資金運用を可能にし、開作や港湾の開発に活用された。

越荷方は北国から大阪に向かう途中の商品を保管する貸倉庫業と金融業で利益を得ており、長崎貿易にも関わり輸入品「唐物」を藩内で売り出した。

木戸孝允(桂小五郎)や高杉晋作が頭人として活躍し、海軍業に利益を充てるなど倒幕運動を支えた。

展示では検地の際の土地台帳や外国からの武器密輸入を担当した文書が展示され、萬代家の歴史と倒幕支援が感じられる。観覧料は大人200円、小・中学生100円。

「撫育方」「越荷方」にスポット 経済切り口に長州藩の歴史紹介 十朋亭維新館で企画展【山口】

 山口市下竪小路の十朋亭維新館で、長州藩の財政を支えた基金「撫育方(ぶいくかた)」と、それを基に運用された商社「越荷方(こしにがた)」にスポットを当てた企画展が開かれている。古文書など19点の資料を通じて経済の切り口から長州藩の歴史を紹介している。7月1日まで。

 

 撫育方は7代目藩主の毛利重就による藩政改革に伴い創設された。1761年の宝暦検地で増えた4万石を基に、藩本部の財源とは別に藩主が直接管理した。特別会計の性格を持ち、柔軟な資金運用を可能にして開作や港湾の開発に用いたという。

 

 撫育方の財源を生かした重要な事業に越荷業があった。越荷方は北国から大阪に向かう途中の商品を一時保管する貸倉庫業と金融業で利益を得た。幕末期には長崎貿易に関わるようになり、輸入品「唐物」を藩内で売り出した。

 

 越荷方には木戸孝允(桂小五郎)と高杉晋作が頭人(とうにん)に就き、利益が海軍業に充てられるなど倒幕を支えた。十朋亭には輸入品を扱う山口越荷方会所が置かれ、萬代家5代目の利兵衛が管理者を務めた。

 

 展示では、検地の際に記された土地の台帳「小村帳写」を展示。外国からの武器の密輸入を担当していた村田蔵六(大村益次郎)を萬代家が手助けしたことを示す文書「村田蔵六宛正木市太郎書状」もある。同会所の表札なども並び、倒幕を陰で支えた萬代家の歴史が感じられる。

 

 担当学芸員の立石智章さんは「財政の側面から長州藩について理解を深めるいい機会になるのでは」と来場を呼び掛けている。館内で配布している展示目録には展示の理解に役立つ年表や用語解説が付いている。

 

 時間は午前9時~午後5時。火曜休館。観覧料は大人200円、小・中学生100円。