「オルカン」一強の時代は終わる…その代わりに、じつはこれから大注目の「意外な投資対象」

AI要約

新NISA制度がスタートし、投資家がオルカンブームに沸いている中、インデックスファンドとアクティブファンドの関係性が注目されている。

インデックスファンドは世界経済の動きに連動して安定的な運用成果が期待できるが、中長期保有が重要とされる一方、今後はアクティブファンドに注目が集まる可能性がある。

インデックスファンドの時代が終わる一因として、世界的なディスインフレ構造により、金融緩和政策による過剰流動性が株式市場へ流れ、インデックスファンドの需要が高まった背景がある。

「オルカン」一強の時代は終わる…その代わりに、じつはこれから大注目の「意外な投資対象」

 前回の記事では、新NISA制度がスタートしてからの感触を、つみたて投資のプロフェッショナルである、なかのアセットマネジメントの中野晴啓さんにお聞きしました。ふたを開けてみると「オルカン」ブームになり、それを懸念しているとのこと。今回は「オルカン」を含めたインデックスファンドとアクティブファンドの関係性について伺っていきます。

 インタビュアー 川崎さちえ(以下、川崎):前回の記事では、NISA制度が始まってみたら「オルカン」(オールカントリー)のファンドに集中してしまい、それが懸念点とのことでした。オルカンを買った人は、「え? ダメなの?」と思うかも知れませんが、そんなことはないですよね? 

 中野晴啓さん(以下、中野さん):「オルカン」は全世界に分散投資ができるインデックスファンドなので、市場の動きそのものに準じた運用成果になります。世界の株式市場全体が世界経済に合わせて上昇傾向をたどるならば、長期的に成果は得られると多います。長期保有を前提に焦らずゆっくりと資産形成をするという視点が重要になってきますね。

 ただ、今まではインデックスファンドが合理的な成果をあげられる時代でしたが、それが終わりを迎えると私は考えています。これからはアクティブファンドに注目が集まって、パフォーマンスも出しやすくなるでしょうね。

 川崎:なぜインデックスファンドの時代が終わるのでしょうか? 

 中野さん:簡単に言えば、世界的なインフレ前提の時代になるからです。

 そもそもインデックスファンドが成果を上げやすくなったきっかけは、1989年のベルリンの壁の崩壊です。東西冷戦が終わり、ここから世界全体の社会構造が変わりました。社会主義が資本主義になり、地球が一体になったと言ってもいいでしょう。最たる例が、企業が中国に工場を作り始めて、安いコストで効率よく生産できるようになったことです。そしてそれが当たり前になったから、物価が上がりにくくなりました。

 経済活動が活発になって景気が加熱してくると、物価が上がってインフレになりやすい傾向があります。でもグローバル経済の進展はディスインフレ構造を定着させました。企業がより安くより効率よく製品やサービスを提供できる構造下ではインフレになりにくいので、先進国では景気減速局面で金融緩和政策(中央銀行が景気の活性化を促すために実施する金融政策)を重ねることが常態化したのです。ということは、結果的に世の中はお金が増えるばかりになってしまいますね。結果、過剰流動性(現金や預貯金などが正常な経済活動に必要な水準を上回った状態)になり、余ったお金の向かった先が株式市場だったのです。とにかく株を買う! という行動動機に伴ってインデックスファンドが買われました。インデックスファンドは市場全体なので、とりいそぎこれを買っておけば便利とされて、インデックス運用への資金流入が起きたのです。