「痩せてなくっちゃ、オシャレをしちゃいけない」そう思っていた。ありのままの自分を受け入れることの大切さ【書評】

AI要約

ルッキズムとは外見重視の考え方で、その問題に焦点を当てたマンガが注目を集めている。

イラストレーターのharaさんが自身の体験をもとに「ボディポジティブ」について描いた『自分サイズでいこう 私なりのボディポジティブ』は、自己受容と肯定の重要性を示している。

美の基準が人それぞれであること、自分を受け入れることの大切さを読者に伝える作品である。

「痩せてなくっちゃ、オシャレをしちゃいけない」そう思っていた。ありのままの自分を受け入れることの大切さ【書評】

 日本でも話題にあがることが増えた“ルッキズム”は、外見を重視する価値観のことで、そのことに着目したマンガも注目を集めている。顔やスタイルなどの外見に悩む人が少なくない現代社会において、過度な外見重視の傾向を見直そうとする動きが活発化している。

 イラストレーターのharaさんが自身の体験をもとに描いた『自分サイズでいこう 私なりのボディポジティブ』(KADOKAWA)は「自分の体をありのままに愛そう」という考え方である「ボディポジティブ」について描いたコミックエッセイだ。

 著者のharaさんは、中学時代に無茶なダイエットを試み20kgも体重を落とすものの、それが過食症に発展し苦しい経験をした。さらに、大学時代には過食嘔吐の悪循環に陥り、身体にも精神にも負担を与える日々を送っていた。しかし「ボディポジティブ」の考え方に出会ったことで、自分自身の体を受け入れてもいいと思えるようになり少しずつ前向きになることができた。そんなharaさんが「痩せてなくっちゃ、オシャレをしちゃいけない」と思っていた自分へのメッセージがつづられる。

 絵を描くことが好きで美大へ進んだharaさんだが、「絵」と「自分」を切り離して描くことが当たり前になっていた。でも「ボディポジティブ」の考え方を知ったことで、ありのままの自分を否定せずに絵を描けるようになった。彼女が描く女の子たちはとてもポップで可愛らしく、プラスサイズの女性たちに勇気を与える存在だ。

 美しさの基準は人それぞれで、いろんな形があっていいはずなのに「ダイエットしてキレイに」と、SNSを開けばこんな文言が自然に目に入ってくる。ファッション雑誌を開けば自分とはスタイルが違いすぎるモデルが並んでいる。「痩せた体形=キレイ」という美の基準が定着し、そうではない自分を否定する経験をした人も多いのではないだろうか。本作は自己受容と肯定の重要性を教えてくれる。