「視力がいい子」のほうがもはや圧倒的な少数派…眼科医も驚く「近視パンデミック」が進行する背景

AI要約

眼科専門医が警鐘を鳴らす近視パンデミックの背景について

子どもたちの視力低下の深刻さと近視の増加について

スマホの普及が視力問題の主要な原因として浮上している

「視力がいい子」のほうがもはや圧倒的な少数派…眼科医も驚く「近視パンデミック」が進行する背景

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みなさんは一日に、どれだけスマホの画面を見ているだろうか? 新刊『スマホアイ 眼科専門医が教える目と脳と体を守る方法』の著者で、眼科専門医の松岡俊行氏は、いま「近視パンデミック」が子どもたちの間で広まっていると警鐘を鳴らす。視力に問題を抱えた子が増えた背景にあるものとは……。

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 本当にスマホは子どもの目に悪影響を与えているのでしょうか? 

 最もわかりやすい現象が近視の増加です。

 子どもたちの視力低下の深刻さは親であるみなさんはすでにご存じのことかもしれません。今、裸眼視力が1.0未満の子が年々増えています。

 この大きな原因が近視にあるといわれています。厳密には視力低下の原因は近視以外にもあるのですが、8~9割は近視が原因です。

 文部科学省による令和4年度学校保健統計では、裸眼の視力が1.0に満たない子どもの数が小学校、中学校、高校の各年代で過去最高を更新しました。

 視力1.0未満の割合は小学生では約37%。中学生では60%を超え、高校生ではなんと70%にものぼっています。

 もはや、視力がいい子のほうが圧倒的な少数派になっている。この現実には眼科医として驚くばかりです。

 さらに、この調査では、視力0.3未満の小学生が全体の11.9%を占めています。0.3未満というのは、教室のいちばん前の席に座っていても、黒板の字が読みづらいレベルです。

 文科省による調査が始まったのは、今から半世紀近く前の昭和54年。当時は、視力1.0未満の小学生は現在の半分にも満たない18%弱、中学生でも35%ほどでした。

 わずか数十年の間に視力に問題を抱えた子がこれだけ増えた背景には、ある劇的な生活スタイルの変化があると考えられています。

 それは、近くを見る機会が格段に増えたこと。

 特にここ10~20年は、スマホの普及の影響が非常に大きいと考えられます。スマートフォンの代表格であるアップル社のiPhoneがアメリカで発売されたのは、2007年(平成19年)。翌年には日本でも販売が開始されました。