今月の読みたい本!【6月】百瀬文、セクシュアリティ、身体、ミュージアム、パンク、ジェンダー、古谷利裕、いぬのせなか座など

AI要約

美術家の日常を綴った百瀬文のエッセイ。他者とのコミュニケーションや作品制作について描かれている。

ミュージアムとの関わり方を考える高校生やミュージアムグッズ愛好家との対話を通じて、ミュージアムの魅力を探る本。

パンク文化のルーツや抵抗の系譜に迫る川上幸之介の著書。音楽、アート、思想、運動の側面から「パンク」を解剖。

今月の読みたい本!【6月】百瀬文、セクシュアリティ、身体、ミュージアム、パンク、ジェンダー、古谷利裕、いぬのせなか座など

なめらかな人

百瀬文 著

講談社 1500円+税 5月30日発売

「美術家の本と聞いて、作品論だと思った人も多いかもしれない。作品をつくるまなざしと、日々を生きるまなざしは、常にわたしの体の上で重なり続けてきた。他者との出会いは、あちこち細かな擦り傷がつくものであると同時に、常に新しい皮膚を手にいれる機会でもあった。(本文あとがきより)」。他者とのコミュニケーションで生まれる不均衡をテーマに、セクシュアリティやジェンダーの問題をとらえながら作品を制作してきた美術家、百瀬文によるエッセイ。作家として作品を作り、映像作家の斎藤玲児、写真家の金川晋吾と暮らす日々の出来事が正直な筆致で描かれている。百瀬の体温を感じるようなエッセイだ。

ミュージアムと生きていく

大澤夏美 著

文学通信 1800円+税 6月3日発売

学芸員の仕事に興味があるけれど、採用の間口の狭さや雇用の不安定さの不安も抱える高校生の博子さんと、ミュージアムグッズ愛好家の著者が、ミュージアムと一緒に生きる人と対話しながら、ミュージアムをめぐる生き方やかかわり方を考える一冊。対談相手は、もりおか歴史文化館学芸員福島茜、合同会社AMANE小川歩美・佐々木紫帆、フォトグラファー佐々木香輔、なにわホネホネ団荻巣樹、とびらプロジェクト太田侑里、きんたい廃校博物館大橋一輝。ミュージアムで働きたい方から、もっと深くミュージアムの活動に参加したい方までおススメの一冊。これからの進路を考えるためのブックリスト付き。

パンクの系譜学

川上幸之介 著

書肆侃侃房 2600円+税 3月12日発売

「Bedtime for Democracy」展、「Punk! The Revolution of Everyday Life」展、「ゲリラ・ガールズ展 『F』ワードの再解釈:フェミニズム!」など、話題の展示のキュレーションを行う川上幸之介による初単著。労働者階級の若者による現状への怒りからイギリスで生まれたとされるパンク。そのルーツには、アナキズムやコミュニズム、そしてダダから脈打つ前衛芸術史も刻まれていた。パンクの抵抗の系譜を辿りつつ、音楽だけでなく、アート、思想、運動の側面からも「パンク」の根源に迫る画期的著作。

〈女らしさ〉の文化史

小倉孝誠 著

中央公論新社 1200円+税 6月19日発売

近代フランスの文学と文化史の研究者による名著が新章を書き下ろした増補改訂版で文庫化。貞淑で慈愛に満ち献身的、清潔で若々しく、優雅に振る舞う……。近代社会と文化においてつくられた〈女らしさ〉はどのように規範化され、いかに共有されたのか。フランスの文学・絵画表現からモード、医学書・礼儀作法書まで、「見られる女/見る男」の変遷を辿り、歴史空間のなかで規制されてきた女性の身体の表象を解読し、その眼差しの構造を浮き彫りにする。

セザンヌの犬

古谷利裕 著

いぬのせなか座 1800円+税 6月17日発売

画家・評論家など多方面で活躍する古谷利裕による初小説集。『群像』『早稲田文学』『ことばと』などで発表された作品に、書き下ろしを加えた計7作品を収録。編集・デザインは、古谷の小説に大きな影響を受けてきたと語る「いぬのせなか座」山本浩貴が担当。いぬのせなか座、Dr.Holiday Laboratoryの共催で行われる連続講座『未だ充分に尽くされていない「近代絵画」の可能性について(おさらいとみらい)』や、OGU MAGで行われる自身の8年ぶりの展覧会「bilocation/dislocation」(会期:6月6日~6月16日)の開催にあわせて刊行。展覧会で先行販売も行われる。