「お金は老後のために貯めておけ」は大間違いだと、お金のプロが考える意外なワケ

AI要約

お金の使い方は生涯にわたる重要なテーマであり、未来への投資が重要であると強調されている。

投資とは単に株や不動産に限らず、学びや経験、行動に対する時間と体力の投資も含まれる。

過去の経験から早めに未来への投資を始めることの重要性が述べられ、今を楽しみつつ将来に備える姿勢が推奨されている。

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「お金の使い方」は、生涯にわたる最重要テーマです。なぜ働くのか、投資とはなんなのか、早いうちから学んでおくに越したことはありません。人生の岐路に立つ日が迫る子供に、その大切さを伝えるとしたらーー。安田修著『中学3年生の息子に贈る、学校では教わらない「お金の真実」』(Gakken)より、内容の一部をご紹介しましょう。

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 お金については本当に、いろんな人がいろんなことを言う。「若いうちはどんどん使っておけ」とか「老後のことを考えて、できるだけ貯めておけ」とか「お金については考えるな」とか。僕に言わせたらこれらは全部、大間違い。

 「お金は全額、未来に投資する」

 これが原則であり、真理だ。お金だけじゃない、本当は時間も体力も、全ては未来へ投資されるべきだ。

 投資というのは、株とか不動産に投資することだけじゃない。学んだりよい経験をして頭脳に投資をしたり、ビジネスを育てて設備や人材に投資をしたりすることも含む。君が今、一所懸命に受験勉強をしているのも君自身の頭脳に対する、時間と体力の投資だ(これは僕からすると、塾代として実際にお金を投資していることになるのだが……)。

 つまり、将来のどこかの時点でより大きなお金として回収ができると考えられることにお金や時間、体力を使うんだ。これを常に意識して行動しているかどうかで、人生は大きく変わる。

 「そんな人生は寂しい、今を楽しむべきだ」という意見もあるだろう。でも僕は、今を楽しんではいけないとはひとことも言っていない。むしろ今を全力で楽しむことは、経験という頭脳への投資になる。どちらかといえば、今を楽しまないことのほうが、ムダな時間の使い方だろうと考えている。全力で学び、全力で遊ぶことが未来への投資になる。

 お金というのは、複利で増える。早く始めるほど効果は高くなる。何倍なんていうレベルではなく、「増え方そのものが増える」から早く始めるのは何十倍、何百倍もの効果になるんだ。

 二次関数というのを習ったよね? イメージはあれだ。最初の数年はほとんど変わっていないように見えても、数十年という規模で見るととんでもない差が生まれる。

 僕はこの真理に気づくまでに47年という時間がかかったから(つまり、本当に納得したのは最近)、それでもそれなりに豊かに生きられるとしても、そこまで大金持ちになることなく人生を終えるかもしれない。それでも、気づけてよかったと心から思っている。そしてそのことを君に伝えられることに、大きな喜びを感じている。

 君たちは僕とは違う。多くの時間が残されている。これからの長い人生、少しずつでもよいから、今から未来への投資を始めるんだ。よりよい未来から、そしてそれを実現するために必要なお金からも目を背けるな。

 今を楽しみつつ、未来への投資をし続けよう。この2つのことは、両立できる。全然、矛盾してはいないんだ。