極短ヘッド! 狭い場所でも余裕のインパクトドライバーは、格安製品と何が違う?

AI要約

パナソニックのEZ1PD1はコンパクトで使いやすいインパクトドライバー。狭い場所でも作業がしやすいと評判の製品。

製品の特徴や使い勝手、価格などが紹介されており、工具を選ぶ際の参考になる記事。

重要なポイントやアタッチメントについても細かく解説されている。

極短ヘッド! 狭い場所でも余裕のインパクトドライバーは、格安製品と何が違う?

使いやすいインパクトドライバーとして気になっていたのが、パナソニックの「EZ1PD1」。短かめのビットと組み合わせれば、狭い場所でもアタッチメントなしで作業できるという、使い勝手の良さが魅力のモデルです。

 ハンマーで打撃を連続的に加えることで、ネジを強く回せるのがインパクトドライバー。締めるのに力が必要な長いネジを扱う場合や、硬い材料にネジ止めしたいとき、そして、固着して回せなくなったネジを外したいときなどに活躍してくれます。

 

 安い物なら5000円くらいから購入できますが、パワーが足りない、軸ブレが大きい、回転速度が高い/低い、重たい、ヘッドサイズが大きく狭い場所で使いにくいなど、使い続けていくと不満を感じる部分もあります。

 

 プロが使うような高価な製品は手を出しにくいですが、この違いが作業効率や使い勝手、疲労、工作精度に影響してくるだけに、快適に使いたいと考えているなら、妥協せずにいい工具を選びたいところ。

 

 そんな使いやすいインパクトドライバーとして気になっていたのが、パナソニックの「EZ1PD1」(実売価格2万2150円)です。

 

 小型でもトルクや回転数の高いブラシレスモーターと、コンパクトなハンマー機構の採用により、奥行き約98mmというコンパクトなヘッドを実現。短かめのビットと組み合わせれば、狭い場所でもアタッチメントなしで作業できるという、使い勝手の良さが魅力のモデルです。

 

 今回、このEZ1PD1とバッテリーの「EZ9L54」(実売価格1万7950円)を借りて、試してみました。ちなみに、バッテリーは前回紹介した工事用ライト「EZ37C6X」と共通で使えます。

 

小さいヘッドでもパワフルに使える!

 ひと目見てわかるのが、とにかくヘッドが小さいこと。重量も、18V5.0Ahのバッテリー装着時で約1.5㎏と比較的軽めですから、長時間の作業でも扱いやすくなっています。

 

 使用できるビットはよくある6.35mmのもの。片頭ビットでは13mm、両頭ビットでは16mmの差し込み部があればOKです。ただし、ビットが短すぎるとビットホルダーに埋もれてしまうので、全長が30mm以上のビットを使うようにしましょう。

 

 ビットの装着方法は、カチャッというまで押し込むだけと超簡単。これで引っ張っても抜けなくなるため、素早く装着できます。

 

 取り外しは、ビットホルダー外周のスリーブを引っ張りながら、ビットを引き抜きます。この時注意したいのは、スリーブを引っ張るとビットが完全フリーになること。つまり、下に向けつつスリーブを引くと、ビットがスルッと落ちてしまいます。そのまま床に落としてしまわないよう、気を付けましょう。

 

 これを逆手に取り、スリーブを引いてビットを手のひらへ落とす、なんてことも可能です。手早く交換して使いたいなら、短めのビットを選ぶと便利です。

 

 ビットがらみでいいなと思ったのは、底面、バッテリー装着部のすぐ横に2つのビット収納スペースが用意されていること。よく使うビットの予備をここに装着しておけば、不意のトラブル例えばビットの破損や落下時でも、替えを取りに行くことなく、作業が続行できます。

 

 ただし、バッテリーを外さなければビットを取り出せないため、普段から使うのには向いていません。あくまで予備用として、です。

 

細かい打撃設定で確実性と安全性が増す

 打撃の強さは3段階と、テクスネジ(ドリルネジ)用の合わせ4つの設定が用意されています。

 

 テクスネジは主に鋼材のネジ止めで使われるもので、先端がドリル、中間がタップ、後ろがネジになっているのが特徴。1本で穴開け、ネジ切り加工、締め付けまでできるという、便利なネジです。

 

 ただし、首までネジが入った後も同じ回転数や強さで締めてしまうと、ネジが破損してしまう可能性が高くなります。これを防ぐのが、テクスネジ用の設定。ネジ締めの負荷をリアルタイムに監視し、ネジが締まりきった後は回転数や強さを緩める制御を行うことで、ネジの破損を防いでくれるモードです。

 

 ちなみに、特性は異なりますが、負荷に応じた制御を行うというのは他のモードでも使われています。これにより、ネジ穴からドライバーの先が外れてしまうカムアウトを低減しているとのこと。失敗が減らせるのは、ありがたいですね。

 

 回転数はスイッチの引き方で変化し、無段階。低回転でもトルクが高いため、ゆっくり締めていく場合でも、根元までしっかり締められます。また、スイッチを離すとすぐに回転が止まるのもいいところ。惰性で回り続けないため、締め過ぎなども防げます。

 

 先端のLEDライトは基本的にスイッチに連動して点灯しますが、「ライト」ボタンを押すことで、5分間点灯、消灯へと変更可能。LEDライトがジャマなときや、回転していないときも照らしておきたい、といった場合に便利です。

 

2つのアタッチメントで作業範囲を拡大

 ヘッドが小さいといっても、さらに狭い場所での作業に使いたいこともあります。そんな時は、別売となりますがアタッチメントの出番です。

 

 とくに用意しておきたいのは、天井や壁際など端に寄ったネジを回せる、スミ打ちアタッチメント「EZ9HX500」(実売価格1万1800円)。こういった端のネジは長めのビットを装着し、ちょっと斜めにすれば回せたりもします。しかし、失敗するとネジをなめてしまうことになり、後悔することに。そんな失敗を高確率で防げるのがこのアタッチメントです。

 

 もうひとつは、軸の向きを90度変えてくれるアングルアタッチメント「EZ9HX501」(実売価格1万580円)。軸の位置がモーター直列とならないため奥行きが狭くなり、さらに狭い隙間でもネジが回せるようになるのがメリットです。

 

 ちなみにどちらのアタッチメントも、ビットホルダーは本体と同じ。つまり、ビットを押し込むだけで装着でき、スリーブを引くことで簡単に取り外せます。

 

 アタッチメントの取り付けは、本体のプロテクターを外して押し付けるだけ。角度は8方向に取り付けられるので、本体を構えやすい角度でアタッチメントが使えるのがうれしいところです。

 

 取り外しは、アタッチメントにある2か所のボタンを同時に押して引き抜きます。

 

買い替え先の候補として

 個人にとって、本体だけで2万円前後、バッテリー2個と充電器、ケースのセットとなると5万円前後と高価な工具はホイホイ買えるものではありません。しかも、使うかどうかわからない最初の1台となれば、無責任に勧めるのはためらわれます。冒頭でも少し触れましたが、初めてインパクトドライバーを買うのであれば、低価格なものから手を出すことを強く推奨します。

 

 ただし、使用頻度が高く、継続して使っているのであれば話は別。ビットの付けやすさやパワー、扱いやすさなどが向上するだけに、買い替え先の候補としてEZ1PD1を選ぶのはアリです。

 

 現在所有のインパクトドライバーが微妙に感じてきた、使い勝手に不満があるというのであれば、感触がどのくらい変わるのか、ホームセンターなどで確かめてみてください。このコンパクトさと力強さの両立は、低価格な製品ではなかなか味わえないものがありますよ。

 

●お気に入りポイント●

 

・低回転でもトルクが高い

 

・スイッチを離すとピタッと回転が止まる

 

・予備ビットの収納スペース

 

この記事を書いた人──宮里圭介

 PC系全般を扱うフリーランスライター。リムーバブルメディアの収集に凝っている。工作が好きだが、最近あまり時間が取れないのが悩み。

 

文● 宮里圭介 編集●こーのス