松本人志はいかにして「笑いのカリスマ」になったのか…「絶大な力」を持つようになったターニングポイント

AI要約

2000年代後半から10年代初め頃までの松本人志の低迷期を紹介。

松本信者とファンの違いについて述べる。

ボケの時代からツッコミの時代への転換と松本人志のポジションの変化について。

松本人志はいかにして「笑いのカリスマ」になったのか…「絶大な力」を持つようになったターニングポイント

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前回記事「「ダウンタウンには普遍性がある」“平成の視聴率キング”が語る、松本人志が「笑いの天才」たる理由」では、『クイズ世界はSHOW by ショーバイ』『エンタの神様』などを手がけた“平成の視聴率キング”五味一男氏に、ダウンタウンの笑いが持っていた「普遍性」について、そして、ボケの時代からツッコミの時代への転換が、松本人志をカリスマの地位まで押し上げる要因となった経緯を語ってもらった。今回は、2000年代後半から10年代初め頃まであった松本氏の低迷期、そして松本氏のテレビ業界での地位を盤石なものにした「ターニングポイント」について紹介する。

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 ※『松本人志は日本の笑いをどう変えたのか』(宝島社)から一部抜粋してお届けします。

 松本さんにもほんの少しだけ低迷期があったという点に触れておかなければいけないでしょう。

 あくまで私個人の意見ですが、映画 『大日本人』『しんボる』などを公開し、『爆笑! 大日本アカン警察』(フジテレビ)が終わるくらいまで─ 2000年代後半から10年代初め頃まで、松本さんの求心力は若干ですが低下していたと感じます。

 もちろん『すべらない話』や『笑ってはいけない』などの、軌道に乗った特番は好調でしたが。

 余談ですが、松本さんには「松本信者」と言われる人たちが多いと言われます。しかし、もし仮に信者がとてつもなく多かったならば、松本さんの映画は興行的に成功していたと思います。

 信者は評判など気にせず、自分が信奉している人にとことんついていきます。ところが松本さんのケースで言えば、そうはならなかった。

 ですから私は、松本さんは信者ではなくファンが多い人だと思うんですね。信者とファン、どちらのほうが良いか悪いかという話をしているわけではありません。

 松本さんのファンは「松本さん自身の存在感」が好きなのであって、彼がつくり出す作品はそれとは別にジャッジしているんだと思うのです。

 さて、ここで前回お話したツッコミ文化の話に戻るわけですが、それまで松本さんは第一線でボケのカリスマとして人気を博してきました。

 ときにはツッコミ的な役回りをすることもあったでしょうが、隣にはツッコミのカリスマである浜田さんがいますから、基本はボケに徹します。ここに松本さんの息苦しさがあったように感じるのですが、2010年代に入って明確に松本さんのポジションが変わる番組が登場します。