「あぁ、やっと言えたぁ…」【推しの子】アイの切なすぎる一言 大ヒットOP曲「アイドル」につながる非情な名シーン

　傑作アニメと名曲OPの組み合わせは数あれど、【推しの子】第1話ほど完璧なリンクを見せ視聴者に衝撃を与えた回はないだろう。歴史的ヒットを記録したYOASOBIの楽曲「アイドル」と、すべてが始まった【推しの子】の壮絶な第1話のシンクロは、今なお“鳥肌”“涙なしには見られない”と語り継がれている。

　アニメ【推しの子】は、赤坂アカ氏と横槍メンゴ氏のタッグによる、累計発行部数1800万部突破の大ヒット漫画が原作。産婦人科医のゴロー（CV：伊東健人）が、大好きなアイドル・アイ（CV：高橋李依）の息子・アクア（CV：大塚剛央）に転生することから始まる物語だ。目の前でアイを殺され、アクアは復讐のため事件の真相を探ろうと芸能界に足を踏み入れていく。2023年にアニメ第1期が放送され、2024年7月3日よりアニメ第2期が放送中。11月28日からは実写ドラマシリーズの配信、12月20日からは実写ドラマの続編にあたる映画の全国公開が決定している。

　アイドルグループ「B小町」の絶対的エースと呼ばれるアイは、アクア（※幼少期CV：内山夕実）とルビー（CV：伊駒ゆりえ）の双子の兄妹を極秘出産した。2児の母であることを世間に隠したまま、アイは子供たちと幸せな日々を送る……はずだった。

　そんな日常はしかし、突然現れた男によって強制的に終わりを告げる。念願だったドーム公演当日、自宅に押しかけてきたストーカーに刃物で刺されてしまったのだ。男はアイのファンで、どこかで子供のことを知ったらしい。「痛いかよ。俺はもっと痛かった苦しかった！アイドルのくせに子供なんて作るから……！」「この嘘つきが！さんざん好き好き言って釣っておいてよ！全部嘘っぱちじゃねぇか！」と喚き散らす男に、アイは瀕死の傷を負いながら「私にとって、嘘は愛。私なりのやり方で愛を伝えてたつもりだよ」と微笑みかけた。

　男が逃げ去った後、自分がもう助からないことを悟ったアイはアクアを抱き寄せ「あんまり良いお母さんじゃなかったけど、私は産んで良かったなって思ってて……」と想いを吐露する。そして最後に「ルビー、アクア。愛してる」と口に出して伝えると「ああ、やっと言えたぁ……。ごめんね、言うのこんなに遅くなって。よかった……この言葉は絶対に嘘じゃない」と涙を浮かべた。

　【推しの子】の主題歌でもある「アイドル」で歌われるのは、嘘はとびきりの愛であり、嘘が本当になることを信じて今日も嘘をつき続けるというアイそのものと言えるアイドル像だ。本当だからこそ言えなかった「愛してる」を最後に言えるのもアイと完全にリンクする。曲を聞くたび、そして1話を見返すたび、その解像度は上がっていくのではないだろうか。

（C）赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会