原作改変に賛否あった実写化映画 「性別がぁ!」「知らん人だけどアリ」

AI要約

マンガやアニメを実写化した映画では、原作の設定やストーリー構成を一部改変している作品もあります。そうした変更がされた中でも、意外と好評を得た作品を振り返ります。

『亜人』は原作から多くの設定やストーリー展開を改変していますが、CG技術を駆使したアクションシーンなどがファンに喜ばれています。

『カイジ 人生逆転ゲーム』も原作とは異なる点がありますが、続編のエピソードを取り入れるなどして、観客を引きつける工夫がされています。

原作改変に賛否あった実写化映画 「性別がぁ!」「知らん人だけどアリ」

 マンガやアニメを実写化した映画では、限られた尺にまとめるため、原作の設定やストーリー構成を一部改変する場合があります。なかには、原作と性別が変わったキャラが登場するも、意外と悪くない評価が出た作品もありました。ネット上で全面的に称賛、とまではいかずとも好評の声も多い作品を振り返ります。

●『亜人』

 同題マンガを原作とした『亜人』(原作:桜井画門)は、絶対に死なない新人類「亜人」の主人公「永井圭(演:佐藤健)」が、政府に追われる身となり、全人類を相手に逃亡する作品です。本作品は、原作の設定などの改変が多くありました。

 まず、原作の永井は医者を目指す高校生というキャラ設定でしたが、佐藤さん演じる実写版の永井は研修医となっており年齢が上がっています。また、永井の宿敵「佐藤」は、初老のキャラですが、実写版では俳優の綾野剛さんが佐藤役を務め、原作よりも若い見た目になっていました。

 ストーリー展開にも原作改変があり、永井の幼なじみ「海斗」は、本作品にはいっさい登場しません。そのため、永井が亜人と発覚し、海斗の協力を得て政府から逃亡する部分などは大幅にカットされています。

 このように原作と構成やキャラ設定が異なっていたものの、「原作より鬱展開が控えめで、すっきりした構成で見やすかった」「原作の面白さをくみ取りつつ、アクションに特化していて、良い実写版だった」といった声があがっており、 CG技術を駆使したアクションシーンなどはファンの満足度が高かったようです。

●『カイジ 人生逆転ゲーム』

『カイジ 人生逆転ゲーム』は、福本伸行さんの『賭博黙示録カイジ』を原作とした実写作品で、2009年に公開されています。「カイジ」シリーズ実写版は、本作を皮切りに2020年まで3作品が実写化され、人気の高いシリーズです。

 自堕落な日々を過ごす主人公「伊藤開司(演:藤原竜也)」は、友人の借金の保証人になったことをきっかけに、多額の負債を抱えてしまいます。そして、借金の取り立てにきた「遠藤凛子(演:天海祐希)」から「一夜で大金を稼げる」とそそのかされ、予測不能なギャンブルゲームに巻き込まれるのでした。

 本作は、原作と比べて、いくつか変更された点が見受けられます。たとえば、原作の遠藤はサングラスをかけた「遠藤勇次」という男性でしたが、実写では女性に変更されていました。また作中、カイジと「利根川幸雄(演:香川照之)」が「Eカード」で戦う際には、遠藤がカイジが資金を使い果たすと利子付きで5000万円を貸すなど、続編『賭博破戒録カイジ』のように一部彼をサポートするポジションになっています。

 また、実写版ではカイジが最初に挑戦した「限定ジャンケン」で敗北し、地下労働施設に送られていますが、原作ではカイジはその段階ではギリギリで勝利し、地下へ強制送還されていません。映画としての見せ場のため、続編『賭博破戒録カイジ』の地下落ちのエピソードがくわえられ、人気のギャンブル「限定ジャンケン」「鉄骨渡り」「Eカード」を無理なく盛り込む流れが作られていました。

 観客からは「天海さんの美しさに見惚れたし、最終的に遠藤にしてやられるカイジってのも原作通りだからいいと思う」「原作の盛り上がる部分を詰め込んでて見やすかった」といった声もあり、面白くまとめるための改変として評価されています。ただ、カイジと「兵藤和尊会長(演:佐藤慶)」による「ティッシュ箱くじ引き」の決戦や、利根川の最後の見せ場「焼き土下座」がなくなったことを残念がる意見もありました。