気持ちがへこんだ大人のことも優しく抱きしめてくれる『インサイド・ヘッド2』など週末観るならこの3本!

AI要約

ピクサーの最新作『インサイド・ヘッド2』では、感情と現実の世界が入り混じりながら成長するティーンエイジャーの姿が描かれる。

スティーヴン・スピルバーグ製作の『ツイスターズ』は、竜巻をモンスターとして描いたアクション・エンタテインメントで、竜巻に立ち向かう勇敢な人々の姿が描かれる。

学園アクションの『赤羽骨子のボディガード』では、Snow Manのラウールが主演を務め、魅力的な登場人物たちとの化学反応を楽しめる。

気持ちがへこんだ大人のことも優しく抱きしめてくれる『インサイド・ヘッド2』など週末観るならこの3本!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、頭の中の感情たちの世界を描いたピクサー最新作、巨大竜巻に立ち向かう人々の奮闘を描くアクション・アドベンチャー、Snow Manのラウールが主演を務める学園アクションの、夏にぴったりな3本。

■感情の世界と現実の世界、2つの物語が表裏一体となって進む…『インサイド・ヘッド2』(公開中)

頭の中の“感情の世界”を描いた冒険ファンタジー『インサイド・ヘッド』(15)から9年ぶりに誕生した待望のピクサー最新作。1作目では、まだあどけなさが残る小学生だった少女ライリーが、今作では高校入学を控えたティーンエイジャーとなって登場。新たに加わった未知の感情たちに翻弄される彼女が、自分の居場所を求めて成長していく姿が描かれる。

思春期は周囲の影響を受けながら、1人の人間として自分を確立する大事な時期。今回はおなじみの5つの本能的な感情たち、ヨロコビ、カナシミ、ムカムカ、ビビリ、イカリの前に突如、シンパイ、イイナー、ダリィ、ハズカシという新キャラが現れて、ライリーの感情の世界はますますにぎやか、より複雑になっていく。感情の世界と現実の世界、2つの物語が表裏一体となって進むスリリングな展開は本シリーズの大きな魅力。ライリーが大人に近づいたぶん、観る人が我が事のようにハラハラする感覚は前作以上で、過去に自分がやらかした数々の恥ずかしい言動をライリーに重ね合わせては、どっぷり感情移入してしまう。都合の悪い思い出を記憶の彼方に飛ばせる“保護システム”や“ジブンラシサの花”など、新アイテムの描写にも注目。変わりたいのに変われない、なにをやっても空回ってしまうなど、気持ちがへこんだ大人のことも優しく抱きしめてくれる感動作だ。(映画ライター・石塚圭子)

■「いかに倒すか」に重点を置いた、純度の高いアクション・エンタテインメント…『ツイスターズ』(公開中)

『ジョーズ』(75)や『ジュラシック・パーク』(93)でモンスター・パニックの新時代を築いたスティーヴン・スピルバーグ製作総指揮によるスペクタクル大作。学生時代に竜巻で仲間を失くした気象の専門家ケイト(デイジー・エドガー=ジョーンズ)は、竜巻の力を打ち消すために無謀な作戦に打って出る。自然の猛威を題材にしたスペクタクル映画は数多いが、本作がユニークなのは竜巻をモンスターと位置付けたこと。「いかに逃げるか」ではなく「いかに倒すか」に重点を置いた、純度の高いアクション・エンタテインメントだ。

無骨な改造車に乗り込んで、絶叫しながら危険地帯に飛び込んでいくケイトと仲間たちのやんちゃな姿は、まさにスピルバーグ印。体感的な映像や立体的な音響に翻弄される、サマーシーズンらしいアトラクムービーになっている。監督は竜巻被害の多いコロラド州の出身で、多くの映画賞に輝いた『ミナリ』(21)のリー・アイザック・チョン。緻密な自然描写やセカンドチャンスをテーマにした人間ドラマも見どころだ。(映画ライター・神武団四郎)

■長身&長い脚を活かしたスリリングなバトル・アクションに圧倒される…『赤羽骨子のボディガード』(公開中)

Snow Manのラウールが主人公の金髪ヤンキー高校生、威吹荒邦になりきり、全方位の魅力を炸裂させる『赤羽骨子のボディガード』。丹月正光の同名人気コミックを実写映画化した本作は、100億円の懸賞金をかけられ、殺し屋から命を狙われる女子高生、赤羽骨子のボディガードを引き受けた幼馴染みの荒邦が、彼女を守るミッションを本人に気づかれることなく遂行する学園アクション・エンタテインメント!そう書くと、原作を知らない人は荒邦が大暴れするめちゃくちゃクールな映画をイメージしちゃいそうだけど、そうじゃない。彼は骨子を自分ひとりで守るつもりだったのに、クラスメイトの全員が自分と同じ彼女のボディガードと知って愕然。いきなり出鼻を挫かれたと思ったら、なぜか(嬉しいけれど…)骨子とデートすることになった自分の周りで、クラスメイトが殺し屋たちを始末する現場を次々に見せつけられて、プライドがズタボロに。しかも、クラスメイトはスナイパー、ハッカー、柔道家、ギャンブラー、忍者、拷問官などなどキャラが濃すぎるスペシャリスト揃いなのだから、たまったもんじゃない!

そんな感じで、前半はまったく出番がなくて凹みまくる荒邦に扮したラウールのお茶目な仕草やコミカルな表情に思わず笑っちゃうが、その分後半では、待ってました!とばかりに、骨子を演じた出口夏希との可愛らしいラブシーンや思いがけない人物とのキス・シーンなどが連続!長身&長い脚を活かしたスリリングなバトル・アクションにももちろん圧倒される。最大の見どころは、ラウールと主要キャストとの未曾有の化学反応だ。奥平大兼、高橋ひかる、土屋太鳳らが普段のパブリック・イメージをぶち壊す一風変わったキャラで、ラウールと対峙して新たな魅力を覚醒!『エイプリルフールズ』(15)、『変な家』(24)などで知られる石川淳一監督のトリッキーな演出とスタイリッシュな映像、捻りまくったストーリー展開も楽しいし、夏休みにみんなでワ―キャー言いながら観ると面白さが倍増するのは間違いない。(映画ライター・イソガイマサト)

映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。

構成/サンクレイオ翼

※高橋ひかるの「高」は「はしごだか」が正式表記