「チケット代は22万円」「服装は超ミニのプリーツスカートで…」日本とこんなに違う、多様すぎるアメリカの音楽フェス事情!

AI要約

コーチェラという世界一の音楽フェスの魅力と過酷さについて語る。

コーチェラはポップでも音楽ファンを納得させるアーティストを選んでおり、参加者はファッションで楽しむ傾向。

企業スポンサーの参入が増える中、コーチェラはブランド力と音楽ファンのためのフェスとして人気を維持。

「チケット代は22万円」「服装は超ミニのプリーツスカートで…」日本とこんなに違う、多様すぎるアメリカの音楽フェス事情!

夏の風物詩となった「夏フェス」の時期がやってきた。コロナ禍の自粛期間を経て、昨年から本格的に各地のフェスが復活。年間を通して日本で行われている音楽フェスは150以上あるというから、もはやフェス大国である。アメリカのウッドストックやイギリスのグラストンベリーなど、もともとは海外で始まったフェスだが、日本でこれだけ根づいた今、海外とはどのような違いがあるのだろうか? アメリカのフェス事情に詳しい、NY在住の音楽ライター・中村明美氏に話を聞いた。

「アメリカのメジャーなフェスといえば、ロラパルーザ、ボナルー、ガバナーズ・ボールなどがありますが、一番有名なのはやはりカリフォルニア州の砂漠地で行われるコーチェラです。毎年4月に開催されるのでフェスシーズンの始まりとして注目も集めるし、規模も最大。1日で10万人から12万人の観客が集まり、それが2週連続で、それぞれ3日間ずつ(計6日間)開催されます。

1999年から始まったコーチェラはもともとオルタナ系ロックのフェスでした。

ただ、ヒットチャートの主流がロックからヒップホップ、R&B、ポップに変わっていったので、ロックをメインにしても主要なお客さんである20代が取り込めなくなって、ビヨンセやハリー・スタイルズなど大衆的なアーティストが出るようになり、今は世界的にもメジャーなフェスになっています。

コーチェラが他のフェスよりも人気の理由はポップでも音楽ファンを納得させるかっこいいアーティストを選んでること。主催者のセンスとこだわりがあって、人気があれば誰でも出られるわけじゃないんです。

例えば今年はシャキーラ(何度もグラミー賞を受賞しているコロンビアを代表するシンガー)が出たかったらしいんですけど実現しなくて。コーチェラが守っているステイタスというのはいまだにあると思います」(中村さん、以下同)

そんな世界一の音楽フェスと言っても過言ではないコーチェラだが、実際に参加してみた中村さんは決して楽しいだけではなく、過酷な一面もあるという。

「砂漠で開催されるので死ぬほど暑い(夜は逆に寒すぎる)。チケット代は3日券のみの発売で一般は599ドル(日本円で約9万5000円)ですが、1399ドルのVIPチケット(日本円で約22万円)で入らないと、かなりハードです。

ゴージャスなラウンジなどが利用できるVIPテントの待遇はすごくよくて、ステージの真ん中から半分くらいがVIPエリアなので真ん前からステージが見れるし、パーキングも会場へのアクセスがいい場所が取れるので、ほんと『お金が全て』みたいな世界です(笑)。私も何度か行きましたけど、暑くて暑くてひたすら水分を補給していました。

来場客も真の音楽ファンというより、ファッションで来ている人が多い印象です。YouTubeで全世界に配信もしているから、広告効果はすごくあって、企業スポンサーのブースも多いし、会場に入った瞬間にお金がかかっているということがわかります。それを現場で見られる観客は、ある種の特権ですよね」

日本の多くのメガフェスと同様に業界のドル箱事業となった音楽フェスに、企業スポンサーが続々と参入する潮流は加速しているが、コーチェラの人気と成功は別格といえる。

「チケットは開催の1年前には発売開始していて、誰が出演するかもまだわからないのに、2025年のチケットはキャンセル待ちになってますね。あの場に行くことが楽しいというパーティ感覚と、コーチェラだから間違いない面子が出演するだろうというブランド力の高さでしょうね。

でもコーチェラは音楽好きのためのフェスという初心を忘れたわけではなくて、レイジ(・アゲインスト・ザ・マシーン)の復活ライブが2020年に行われるはずだったし(新型コロナの影響で中止)、大金積んでトーキング・ヘッズの再結成をオファーしようとしたみたいです。