25年秋の朝ドラは『ばけばけ』 小泉八雲の妻・セツをモデルにふじきみつ彦が脚本を手掛ける

AI要約

2025年秋スタートの連続テレビ小説『ばけばけ』が決定。物語は没落士族の娘・小泉セツと外国人夫の怪談愛を描く。

主人公トキの物語を通じて、明治時代の西洋化と取り残された人々の心情を探る。

脚本家ふじきみつ彦とプロデューサー橋爪國臣がコメントを寄せ、ドラマの特徴やメッセージについて語る。

25年秋の朝ドラは『ばけばけ』 小泉八雲の妻・セツをモデルにふじきみつ彦が脚本を手掛ける

2025年秋スタートの連続テレビ小説が『ばけばけ』(NHK総合ほか)に決定。脚本のふじきみつ彦、橋爪國臣プロデューサーからコメントが到着した。

第113作目の連続テレビ小説となる本作は、松江の没落士族の娘・小泉セツがモデルの物語。外国人の夫・ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と共に「怪談」を愛し、急速に西洋化が進む明治の日本の中で埋もれてきた名もなき人々の心の物語に光を当て、代弁者として語り紡いだ夫婦の物語を届けていく。

人魂よりさまよい、お化けより生きるのが下手くそな人たちに囲まれ、幽霊よりもこの世をうらめしく思う没落士族の娘・松野トキ。絶対取りつかれているんじゃないか、早くおはらいに行った方がいいんじゃないかぐらいのつまずきを繰り返しながら、どこか憎めない人々と共に、それでも前向きに生きていく。

その人生の途中で出会うのが、ゴースト以上に居場所を見つけられず、トキ同様この世をうらめしく思いながら、世界を転々とした末に日本にたどり着いた異国人。トキは妖怪よりもやっかいな彼に手を焼きつつも、怪しい話好きという共通点から次第に心を通わせると、うらめしかったこの世界はいつしか、かけがえのない素晴らしいものに。

「化ける」物語であることから『ばけばけ』と名付けられた本作。急速に近代化が進む明治の日本は、人々の暮らしや価値観がどんどん「化けて」いく。その中で取り残された人々の思いは、時に怪談という物語に形を変え、語り継がれてきた。それと同じように、うらめしかったトキの世界もいつしか「化けて」いく。

物語はトキが生まれ育つ島根県からスタート。その後、ヒロインの人生が進むにつれて舞台地も熊本など各地に移り変わる。なお、実在の人物である小泉セツ(1868ー1932)がモデルとなるが、大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描かれる。

ヒロイン・トキ役と、相手役となる外国人英語教師の役はいずれもオーディションを開催し、決定する予定。 脚本のふじきと橋爪プロデューサーのコメントは下記に掲載。

<ふじきみつ彦 コメント>

何も起きない物語を書いています。

人生、光もあれば影もあると言いますが、人生って光でも影でもないところがほとんどだなぁというのが僕の実感です。キラキラしているわけではないけど影というほど暗くもない、取り立てて人に話すほどでもないたわいもない時間。そんな光でも影でもない部分に光を当てる朝ドラを書いてみたい。今回のモデルである小泉セツさんのことを知ってそういう考えに至りました。セツさんは特別なことを成し遂げたりとてつもない夢をかなえたりした人ではありません。少し変わった、しかし何げない日常を送った、言ってみれば普通の人かもしれません。だけど、だからこそいとおしいのです。

「夢は○○だけん!」(島根言葉)なんて一度も叫ばない朝ドラですが、好きになってもらえたらうれしいです。

<プロデューサー・橋爪國臣 コメント>

ヒロイン・松野トキは、夢を宣言し、がむしゃらに追いかけるヒロインではありません。時代の中で取り残されたり、大勢の意見の中で埋もれていったりする人々に光を当て、尊重し、共に生き抜いていく、そんなドラマを作りたいと思っていました。

脚本のふじきさんは、日常に潜む不条理をクスッと笑えるユーモアとして描き出すことができる方です。朝ドラを作るにあたって、ふじきさんなら、小さな声にも耳を傾け、日常の中にちょっとしたおかしみや悲しみが紛れ込み、気がつけば心が温まる、新しいドラマを作り上げることができると思いお願いしました。

ふじきさんと共に題材を探す中で、「小泉セツ」さんと出会いました。セツさんが残した「思い出の記」には、淡々とつづられた日々の奥に、2人の愛情や苦しみ、喜怒哀楽があふれています。

大きく変わっていく世の中に翻弄されながらも、夫・ハーンとともに暮らしていく姿に強く感銘を受けました。違う価値観を持つ者同士が、お互いを尊重して受け入れていく姿は、今の私たちにも大切なものを示してくれると思います。

セツと八雲が「怪談」を通じて時代を描き出したように、『ばけばけ』も今を生きる皆さんの心に響く朝ドラとしてお届けできたらと思います。