形見のピアス、輝き今も 上智大生殺害28年で姉

AI要約

1996年に東京都葛飾区で発生した小林順子さん殺害事件が未解決のまま28年が経過している。

順子さんの姉である熊田亜希子さんは未解決のままの事件に対し、妹の思いを大切にしながら生活している。

事件前の順子さんと姉の楽しい時間や未来への希望が突然奪われ、姉はなおも事件の真相を求めている。

 1996年に東京都葛飾区の自宅で上智大4年の小林順子さん=当時(21)=が殺害、放火された事件は、未解決のまま9日で発生から28年になる。姉の熊田亜希子さん(53)=岐阜市=は妹がくれた金色のピアスを大切にしている。「妹が生きたかった日々を、しっかりと生きていく。見守ってくれていると思う」。数少ない形見は、今も変わらず輝いている。

 96年9月7日、留学で4日後に米シアトルへ旅立つ順子さんに、食事に誘われた。仕事や学業で互いに忙しく、めったになかった2人での外出。駅のホームや店で、恋人との近況など、たわいない話に花が咲いた。帰りに寄った店で選んでくれた藤色の花柄ワンピースを買った。事件2日前のことだった。

 警察署の遺体安置室で会った妹は、悲しげで泣き疲れたような表情を浮かべていた。自宅は燃やされ、花柄のワンピースは一度も袖を通すことなく焼けた。同じものを探したが見つからず、似たものをひつぎに収めた。

 希望にあふれていた妹の未来は突然途絶えた。なぜ、どうして。消えない思いを抱え続けている。