「ポルシェ911」に初のハイブリッドモデルが登場 その特徴を分析する

AI要約

ポルシェは992型の「911」を大幅にアップグレードし、新しいT-Hybridモデルを発表した。

新しいT-Hybridモデルは、軽量なパフォーマンスハイブリッドシステムを搭載し、従来の水平対向6気筒エンジンもアップグレードされた。

エンジンの排気量を拡大し、最高出力や最大トルクも向上させ、ハイブリッド化による効率アップを図っている。

「ポルシェ911」に初のハイブリッドモデルが登場 その特徴を分析する

その名も「T-ハイブリッド(T-Hybrid)」である。Tは「ターボ」の意だ。ポルシェは992型の「911」を、彼らの言葉を借りれば“根本的に”アップグレードし、「カレラGTS」系に超軽量なパフォーマンスハイブリッドを搭載した。内燃エンジンに電動ユニットを組み合わせるのは、長い911の歴史上初めてである。

ハイブリッド化に合わせ、水平対向6気筒エンジンもアップグレードした。3リッター(2981cc)だった排気量を3.6リッター(3591cc)へと20%増加させ、電動ターボチャージャーを組み合わせた。従来型の3リッターツインターボも残されている。

排気量の拡大はボアとストローク、双方を拡大して行っている。3リッター版のボア×ストロークは91.0×76.4mmだ。3.6リッター版はボアを6mm、ストロークを4.6mm伸ばして97.0×81.0mmとした。

ちなみに、911および「718」向け6気筒エンジンの最大排気量は4リッターでボア×ストロークは102.0×81.5mm。911ターボが積む3.8リッター版のボア×ストロークは102.0×76.4mmだ。

水平対向エンジンでストロークを伸ばすのは幅方向の制約があるので難しく、現行プラットフォームでは81.5mmが限界なのだろう。エンジンの効率(燃費、排ガス性能)を考えると、ボアはできるだけ小さく、ストロークはできるだけ長くしたい。

ストロークとボアの比率であるストローク/ボア比(SB比)は、SB比1.0を超えるロングストローク型のほうが混合気の形成や損失低減など効率面で有利とされる。世の高効率エンジンはおしなべてSB比1.2前後である。911が搭載する4リッター版(自然吸気)のSB比は0.800、3.8リッターは0.750、3リッターは0.840、最新の3.6リッターは0.835だ。3.6リッターの開発にあたっては燃焼効率を考えてボアだけでなくストロークも拡大し、3リッターと同等のSB比を死守しようとしたことが伝わってくる。

今回のアップグレードで3リッター版も性能向上が図られており、最高出力は394PS、最大トルクは450N・mを発生する。いっぽうT-ハイブリッドと組み合わされる3.6リッターエンジン単体での最高出力は485PS、最大トルクは570N・mだ。