【子育て相談支援】家庭センター設置急務(8月3日)

AI要約

母子保健と児童福祉の相談支援を一体で担う「こども家庭センター」の設置状況について全国の設置率や課題、県内の未設置状況とその影響将来的な人口減少や子育て世帯支援の重要性について

 母子保健と児童福祉の相談支援を一体で担う「こども家庭センター」は5月1日現在、県内31市町村で未設置となっている。女性の社会進出を推進する上での役割は大きく、出産前から子育て期までの切れ目ないサポートの充実に向けて早急な対応が求められる。

 改正児童福祉法の施行に伴い、市区町村単位の設置が今年度から努力義務とされた。全ての妊産婦や子育て世帯への支援を行き届きやすくするほか、虐待の恐れがある子どもの情報を児童相談所と共有する。こども家庭庁によると、全国1741自治体のうち876自治体で設けられ、設置率は50・3%となっている。本県は28市町村で完了し、設置率は47・5%で全国平均を2・8ポイント下回っている。設置割合が最も高い福岡県は98・3%で、富山県80・0%、石川、島根両県が78・9%と続く。政令指定都市などは複数設置している例もあり、総数は1015カ所に上る。

 国は2026(令和8)年度までに全自治体での設置を完了する目標を掲げているが、こども家庭庁は「小規模自治体ほど人員確保や組織の見直しに時間がかかる」とみている。本県も人口規模の小さな町村で未設置が目立つ。 浜通りや会津地方の自治体は設置が進まない要因として、保健師など有資格者を含めて職員の確保が難しかったり、部署を超えた調整が必要になったりする点を挙げている。国はそれぞれの実情に応じた支援策をきめ細かく講じる必要がある。

 民間の有識者でつくる「人口戦略会議」は、将来的に「消滅可能性がある」とする全国744市町村を今春公表し、県内は33市町村が含まれた。2020年から2050年までの30年間で、子どもを産む中心世代の20~30代女性が50%以上減るとの国立社会保障・人口問題研究所の推計を基に予測した。本県をはじめ地方は若い女性の都市部への流出が続き、少子化や人口減少が加速している。

 県内への定着を促すには、就労環境の整備が欠かせない。その上で、仕事と育児の両立を目指したり、子育てに悩んでいたりする世帯を後押ししていくためにも、こども家庭センターの整備は重要だ。(佐久間靖)