官僚の国会対応「ブラック霞が関」に改善遠く 答弁作成完了は終電後の当日午前0時48分

AI要約

国会対応業務における過重労働の問題と、改善が進まない状況が報じられている。

国会議員が政府に対して質問内容を直前に通告する割合が増加しており、官僚の負担が増大していることが示唆されている。

官僚の労働負担緩和のためにオンラインを活用する取り組みも進んでいるが、まだ普及が進んでいない状況が浮かび上がっている。

官僚の国会対応「ブラック霞が関」に改善遠く 答弁作成完了は終電後の当日午前0時48分

官僚の過重労働の要因とされる国会対応業務に抜本的な改善傾向がみられない。6月に閉会した通常国会で国会議員側が国会質問の内容を前日午後6時以降に政府側に通告したのは全体の6・9%を占め、昨秋の臨時国会の前回調査(2・5%)から約2・8倍に増加した。オンラインを活用した質問内容の聴取も全体の8・8%と、前回(6・8%)に比べて微増にとどまる。全ての答弁作成が完了した時刻の平均は質問当日の午前0時48分だった。

■直前の通告は改善傾向だったが…

内閣人事局は2月5日~3月31日、全府省庁を対象に衆参各委員会での質問通告を集計した。委員会で国会議員は首相や閣僚に質問する際、慣例として政府側に質問内容を事前に通告する。かみ合った質疑を行い、議論を深める狙いがある。一方で通告が遅れることで未明まで答弁作成に追われるなど官僚の過酷な労働実態につながっていると指摘される。

内閣人事局は国会対応業務に関する実態調査を令和4年秋の臨時国会(①)以降、5年の通常国会(②)、5年秋の臨時国会(③)でも行っている。

今回の調査(④)では質問通告は計2500件。委員会開催日の前々日までの通告は1260件と半数を占めた。質問通告は直前になるほど国会答弁の作成業務を担う官僚の負担が重くなる。前日午後6時以降の通告の割合に関しては①6・5%、②3・2%、③2・5%─と減少傾向にあったが、今回は6・9%(173件)と最も大きくなった。

■政策立案能力低下の恐れ

質問通告を受けた後、官僚は国会議員側に質問内容を確認、説明する「質問レク」を行う。議員会館事務所で行う場合が多かったが、新型コロナウイルス禍を契機にオンラインレクが奨励されている。議員会館に出向く時間的な負担などが軽減されるためだが、オンラインレクの割合を巡っても①6・8%、②10・4%、③6・8%、④8・8%─と、なかなか利用が広がらない現状が浮かぶ。

委員会開催日ごとに全ての答弁作成が完了した時刻の平均時間は①当日午前2時56分、②同1時42分、③同1時31分、④同0時48分─と改善傾向がみられるが、今回も中央省庁の最寄り駅である東京メトロ・霞ケ関駅の終電時刻を過ぎている。